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国債と長期金利の関係

2020年4月28日

日銀は27日、金融政策決定会合を開き、追加の金融緩和策を決めた。新型コロナウイルスの感染拡大で経済が急速に悪化するなか、長期金利の上昇を抑えるため、国債を制限なく必要な量を購入する

日銀が「国債」を買うと長期金利が下がる?

が良く分かってないので調べて見ました。
(※現時点での理解で書いてますので、内容は修正される事があります)

長期金利とは?

長期金利は、広義な意味としては、長期=1年以上を指し、金融機関が1年以上の期間、お金を貸し出す時の金利の事を言います。但し経済ニュースなどで「長期金利」と言う場合は、日銀が発行する10年物国債の利回りの事を指すという暗黙の了解があります。(参考:「長期金利│初めてでもわかりやすい用語集│SMBC日興証券」)

「長期金利の上昇を抑えるために」というのは、「10年物長期国債の利回りの上昇を抑えるために」と変換する事ができます。

この暗黙の了解を知らないと「長期金利の上昇を抑えるために」というフレーズの「長期金利」という単語が指す本当の意味を理解できないため、このニュースを理解するための、はじめのハードルになっていると思います。(義務教育でこう言ったものを教えてくれると嬉しいなと思ったりします)

「金利」と言うと「預金の金利」「ローンの金利」と言うように現金に付随する利子の事として使われるイメージがありますが、ここで言う「金利」は現金に付くものでは無く国債の「利回り」を指します。

国債には他にも3年物、5年物がありますが、10年物国債の金利が一番安定しているので、経済指標に用いられているようです。

経済が成長すると、お金の巡回がより必要になるので、お金の供給量を増やしていく必要があります。

理論的には経済成長が続けば、インフレが継続していく事になります。

ただお金の供給量だけが増えると単純にお金の価値が下がるだけなので、金利を上げて銀行がお金を吸い上げる力をかける事で流通をコントロールする必要があります。

そのため経済が順調に成長している場合は、緩やかなインフレが進行し、長期金利は高めに推移します。(参考:「コロナ感染拡大も「インフレ続く」か?経済成長の仕組みを知る | 富裕層向け資産防衛メディア | 幻冬舎ゴールドオンライン」)

また、国債の購入は、銀行から見ると、企業や個人にお金を貸し出すのと同様、お金を増やす手段の一つです。

そのため、10年物長期国債の金利(利回り)は、実際に銀行が民間にお金を貸し出す時のローンの「金利」に影響します。ですので、10年物長期国債の金利を見る事で、金融機関が民間にお金を貸し出す時の金利がどうなるかが予想できます。

国債の金利(利回り)を下げないといけない理由は?

銀行から見ると、お金をどうやって運用して利益を出すかが仕事です。銀行ができる事は

  1. 日銀に預けて金利を稼ぐ
  2. 国債を購入して金利を稼ぐ
  3. 企業に貸して金利を稼ぐ
  4. 個人に貸して金利を稼ぐ

が大まかな所です。

銀行から見ると一番金利が高い所にお金を貸し出す(預け入れる)のが一番効率良く稼ぐ方法になります。
逆に国としては、景気が悪い時は国に預けるより、企業や個人に回して欲しいため、1)と 2)の条件をできるだけ悪くして 3) と 4) に回るようにしたい。という動機があります。

1) については、銀行は日銀に口座を開設する事が出来ます。(参考:「日本銀行には誰が預金口座を開設していますか?」「第5章 決済と銀行 3.中央銀行への預金」)
もし、金利が高いのであれば、銀行日銀にお金を預けたくなります。反対に金利が安ければ、銀行は日銀にお金を預けるよりも、企業や個人に貸し付けた方が儲ける事ができると考えるようになります。

ですので、国は 1)に関しては、銀行ができるだけお金を預けないように、銀行が預ける一部のお金にマイナス金利を適用し、預ける事によって逆に日銀にお金が取られる。という政策を実行します。(参考:「「日銀当座預金」とマイナス金利(日本) 【キーワード】」)

2)に関しては、国が国債を大量に買い入れて、価格をつり上げる事で国債を購入しにくくする事ができます。国債の購入が価格が上がる事で、国債を購入する事で得られる利益(利回り)を下げる事ができます。それにより銀行が国債を買いにくくします。ただ、これについては、少し複雑なので、次のセクションで解説します。

いずれにしても、こうして 1) と 2) のメリットを減らす事で、銀行が 3) 4) にお金を流すように誘導するのが、不景気時の時に行われる日銀のオペレーションです。

国債の金利を下げるのは 2) のメリットを減らす行為です。

以上が理屈なのですが、現実的には 2) は上手く行って銀行は国債を手放して現金に替えているものの、そのお金は 3) 4) には向かわず、1) に向かっているようです。
1)を実現するためには、日銀の当座預金の金利を下げれば良いのですが、当座預金の金利を下げすぎると銀行の経営に影響を与えるため、単純に金利を下げる訳にはいかないようです。

日銀が民間銀行から国債をどんどん購入し、民間銀行は行き場のないその代金を日銀に預けることなどでBSが肥大化してきました。

(参考:「「異次元金融緩和」のどこが問題? 国民が知らぬ間に膨らむリスクとは - 特集 - 情報労連リポート」)

国が国債を買うと金利(国債の利回り) が下がる仕組み

国債を買うと金利がつきます。例えば10年物100円の国債を買い最終利回りが5%であれば、10年後の満期時に105円になります。(※話を簡単にするために毎年の金利では無く、複利の最終利回りが5%という事にします)

同時に、国債は市場で売り買いする事ができます。

もし、国債の買手がたくさんいれば国債の価格が上がります。

例えばある人がお金が必要になり、10年物100円で5%最終利回りの国債を101円売りに出します。元の額面の価格は100円だとしても需要が多ければ 101円でも売る事ができます。その国債を101円で購入した人は、満期時に4%の利益を得る事ができます。つまり国債の額面の価格が上がると国債の最終利回りが、5%から4%に下がったように見えます。

反対に国債の買手がいなければ国債の価格は下がります。

またある人が、急にお金が必要になり、10年物100円で5%最終利回りの国債を100円で売りに出します。それでも誰も買ってくれませんでした。それでも現金が必要だったので、100円で買ったものを99円に売りに出した所、ようやく買い手が付いたと仮定します。この時、この国債を買った人は、国債の満期時に6円の利益を約束された事になります。つまり国債の利回りが5%から6%に上昇したように見えます。

つまり

  • 国債の価格が上昇 → 国債の利回りが減少
  • 国債の価格が下降 → 国債の利回りが増加

します。

頭が混乱しやすいの原因の一つは、国債の価格が上がると利回りが下がるという言葉上、逆方向の現象が発生する事があると思います。

もう一つ混乱しやすい原因は、「国債の利回り」と言った時に発行時に約束される固定された利回りを想像しがちですが、ここで言う利回りは、既に発行された国債が売買される中で、例えば100円で販売されていた額面の国債が101円や102円で取引される事で、満期時に受け取る利益が変化する実質の利回りを指しているためかと思います。

いずれにしても、国債の価格が下降 = 国債の利回り部分が増加 すると、それだけ美味しい商品になり、銀行が国債を買う事にお金を使いはじめます。つまり、企業や個人に回るお金が少なくなります。

そのため、国は国債をたくさん購入して、国債の購入価格をつり上げて、国債の利回りを減少(金利を低下) させようと頑張ります。銀行や投資家のお金が日銀以外に向かうように仕向けるわけです。(参考:「国債の「表面利率」「利率」「クーポンレート」「利回り」はどう違うのですか : 財務省」)

マイナス金利

マイナス金利とは、金利がマイナスなので、お金を預けたり、債権を購入した時に、将来、元手の金額が元本以下になって帰ってくる事が約束される状態です。

国債の場合は、その国債を購入して満期を迎えても、購入価格が高いために、国債が満期を迎え金利を受け取ったとしても、購入価格以下のお金しか返ってこない事を意味します。

例えば 100円10年満期5% の国債は、105円で購入できればトントンですが、市場では106円で売られているとします。106円で購入しても、満期時に得られるお金は105円です。
満期時には、105円-106円 = -1円で、実質的にマイナスの金利が付いているように見えます。

ただ、そこまで国債の魅力が下がっても、国債を買う投資家もいます。

100円10年満期5% の国債を持っている投資家がいた場合、106円で国が買ってくれるとなると、当然手元の100円で買った国債を手放して現金化した方が良い事になります。元々の想定の5%金利ではなく、6%の利益を得られる事になります。

一方で、新規に106円の国債を購入しようとする投資家達も出てきます。彼らは例え 106円で国債を買ったとしても、国がさらに国債の買い入れをして国債の価格をつり上げると見越して国債を購入します。

仮に投資家が106円で国債を購入した後、景気が一層悪くなった場合、国は景気を良くするために、キャッシュを民間に流したいという動機がでてきます。そのために、無理矢理国債を買い取って金融機関や投資家にお金を流す事を決定し、107円で購入する政策を出してきたとします。

この時、投資家が106円で購入した国債を 107円で売る事ができれば、107-106円で1円の利益を出す事ができます。当然、このような短期筋の投資家達は満期まで持っていたら損をするのは明白なので、短期で国債を売買をする事を目的として国債を購入しています。

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